

タロットとトランプの意外なつながり:歴史から象徴まで深掘り
- 「トランプとタロットって、全然違うものでしょ?」
- 「タロットは占いの道具で、トランプはゲームでしょ?」
そんなふうに迷っている方は少なくありません。 実は、トランプとタロットは、全くの別物ではなく“兄弟”のような関係にあるのです。
なぜなら、両者には共通の祖先=「マムルークカード」が存在し、歴史的にも象徴的にも深いつながりがあるからです。
両者をつなぐキーワードは、「小アルカナ」と「スートの対応関係」。 さらに、その関係性をひも解くことで、カードに込められた文化や哲学的象徴が見えてきます。
この記事を読むと——
- タロットとトランプがどう“兄弟”なのかが理解できる
- カードの象徴性が、歴史・文化とどう結びついているかを体系的に学べる
- 初心者でも迷わずカードの背景を捉え、占いやスピリチュアルな活用に役立てることができる
結論はこうです: トランプを知ることでタロットが深まり、タロットを知ることで人間の象徴世界が広がります。 本記事では、これらのカードの起源、進化、そして象徴的な共通点を紐解いていきます。
共通の祖先の「マムルークカード」とは?
タロットもトランプも、その起源を辿ると13世紀頃にイスラム文化圏で広まったマムルークカードにたどり着きます。マムルークカードは遊戯用カードとして使われており、ヨーロッパに伝わった後、それぞれのカードが独自の進化を遂げました。言い換えれば、タロットとトランプの“親”にあたる存在ということです。
マムルークカードの特徴
- スート(マーク):刀剣、カップ、貨幣、ポロ用スティック。
- 数字カード:1〜10までの数字カードがあり、絵札には人物ではなく役職名が記載。
- デザイン:イスラム教の偶像崇拝禁止の影響で文字やシンプルな模様を中心としたデザイン。
このカードがヨーロッパに渡る際、地域ごとにスートが変化し、タロットやトランプの進化の基盤となったとされています。
タロットとトランプ:兄弟の関係とお兄ちゃんの役割
タロットの誕生と進化の流れ
- 誕生:14世紀後半のイタリア
- 初期用途:遊戯用カード
- 進化:18世紀以降、占い・象徴研究の道具へ
- 特徴:大アルカナ(22枚)+小アルカナ(56枚)
タロットカードは14世紀後半にイタリアで遊戯用カードとして生まれました。その後、18世紀頃になると占いのツールとして利用されるようになり、独自の「大アルカナ」カードが追加され、より象徴的な意味を持つようになります。この点で、タロットはトランプの「お兄ちゃん」のような存在です。
トランプの誕生と進化の流れ
- 誕生:16世紀ごろ
- 主な用途:娯楽・マジック・社交的遊戯
- 特徴:4スート+ジョーカー。絵札あり。占いにも使用可能
トランプカードは、マムルークカードがヨーロッパに伝わった後、ゲームとして広まりました。シンプルなスート構造を持ち、娯楽やマジックの道具として活用され、文化的にはタロットと異なる方向へ進化しました。
タロットとトランプの象徴性の違い
- タロットは神秘思想・心理学的解釈との親和性が高い
- トランプは数理的ゲーム・偶然性の象徴が強い
両者は用途が異なるものの、根底に流れるシンボルの構造や文化的背景が重なり合っているのです。
小アルカナとトランプのスートの対応関係
タロットの小アルカナには以下の4つのスートがあります。それぞれがトランプのスートと対応している点が非常に興味深いです。

見えてくる象徴のつながりと共鳴
タロット | トランプ | 象徴するテーマ |
---|---|---|
カップ (Cups) | ♥ ハート | 感情・愛・人間関係 |
ペンタクル (Pentacles) | ♦ ダイヤ | 富・物質・現実的価値 |
ワンド (Wands) | ♣ クラブ | 行動・情熱・創造力 |
ソード (Swords) | ♠ スペード | 知恵・意志・困難・闘争 |
💡注目ポイント
- タロットにおける「感情=カップ」が、「心=ハート」に対応しているのは直感的にも理解しやすい
- ペンタクルの“豊かさ”が、ダイヤの“物質的成功”と対応
- ワンドの“行動力”がクラブの“パワー”に結びつく構造
- ソードは“知恵と障害”の象徴で、スペードの“挑戦”に通じる
こうした対応関係は、カードゲームが単なる遊びではなく、文化的思考の縮図であることを示しています。
他にもある?カード界の“親戚”たち
タロットとトランプ以外にも、兄弟とも言えるカードがあります。
マンテーニャ・タロッキ
- イタリア・15世紀に登場
- 教育目的:社会階層・知識体系の学習用
- 占いには不向きだが象徴の深さではタロットに通じる
教育用カードで、占いではなく学問や社会階層をテーマにしたもの。
オラクルカード
- 20世紀以降のスピリチュアルツール
- タロットの象徴性を柔軟に再構築したデッキが多い
- より直感的・感情的な読み解きが可能
現代のスピリチュアルツールとして、タロットの象徴性から影響を受けたデザインを持つカード。
地域スートカード(ドイツ・東欧など)
- スート構成:鈴、葉、心臓など
- 民族文化を反映した象徴が強く、独自の美術様式を持つ
地域ごとに進化したバリエーションとして、ドイツでは「鈴」「心臓」など独自のスートを持つカードがあります。
これらはすべてタロットやトランプと文化的に関連しつつ、独自の道を歩んできた「いとこ」のような存在かもしれません。
現代におけるタロットとトランプの役割
現在、タロットは主に占いの道具としてスピリチュアルな場面で活躍し、トランプはゲームやマジックの道具として広く利用されています。しかし、トランプも占いに使われることがあり、簡易的なタロットの代替ツールとして親しまれることがあります。例えば、トランプのハートをカップとして読み解く方法がその一例です。
タロット
- 占いや自己分析(セルフリフレクション)
- アート・デザイン領域でのインスピレーションツール
- 心理学的対話やセラピーの補助として利用
トランプ
- ゲーム(ポーカー・ソリティアなど)
- マジック・手品の演出アイテム
- 占術としての応用(簡易タロットとしての活用も)
まとめ
トランプとタロットは、娯楽と占術、遊びと哲学という異なる顔を持ちながら、ひとつの起源に通じています。 その共通点であるマムルークカードは、偶然以上に、人間の「象徴化する心」の歴史そのものを物語っています。
両者に共通するスート構成は、人間が無意識に感じる世界の4大要素——感情・物質・行動・思考——を象徴的に分節化し、それぞれのカードで“人生の縮図”を表現しているようにも見えます。
そしてそこには、文化や宗教、社会的役割によって形を変えながらも、「人を理解する」という普遍的な目的が込められていたのではないでしょうか。
カードは無言ですが、問いかけるとき、必ず何かを返してくれます。 それは未来の答えではなく、今のあなたの視点を照らす光かもしれません。
タロットの奥深さに惹かれたなら、トランプにも耳を傾けてみてください。 一見シンプルなその構造の中に、何世紀もの哲学と象徴のやり取りが息づいています。

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